DreamDive Open Lab:渡辺正峰先生 ― 意識の接続と機械脳

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DreamDive Open Lab「研究者の話を聞く 1 時間」

DreamDive では、睡眠・夢・脳をテーマに活動する研究者や実践者の方々をお招きし、お話を伺う企画「DreamDive Open Lab 研究者の話を聞く 1 時間」を継続して開催しています。

今回は、東京大学大学院工学系研究科の渡辺正峰准教授をゲストにお迎えし、意識の科学と脳機械接続に関するお話をいただきました。

渡辺正峰先生との対話

デジタル化の先にある問い

渡辺先生はまず、デジタル化の進展を 3 段階で整理されました。

  1. 環境のデジタル化 ― すでに実現している段階
  2. 身体のデジタル化 ― 現在進みつつある段階
  3. 脳のデジタル化 ― これから挑むべき段階

脳が機械化されたとき、そこに意識は宿るのか。神経の配線やシナプス強度をすべて再現すれば、意識が生まれるのか。これは機能主義の前提に立った問いであり、渡辺先生の研究の出発点です。

意識のハード・プロブレム

ライプニッツの「風車小屋の議論」を引きながら、先生は意識の難問を解説されました。機械の仕組みをいくら解き明かしても、そこに主観的な体験は見当たらない。脳の情報処理を客観的に計測することはできても、「あるものになることの主観的な感覚(the feeling of what it is like to be something)」には、従来の科学的方法論だけでは到達できない。

LLM を例にとっても、ボトムアップの仕組みは理解できるが、なぜそれが高度な振る舞いを生むのかには説明のギャップがある。意識の問題はまさに、客観と主観を橋渡しするという、従来科学の枠組みをはみ出す挑戦であると語られました。

脳と機械を接続して意識を検証する

渡辺先生が提唱するのは、生体脳と機械脳を直接接続し、主観的体験の有無を検証するというアプローチです。

大脳半球の反体側性(左脳が右視野、右脳が左視野を処理する性質)を利用し、片方の脳半球を人工回路網で置き換えたとき、もし両視野が統合された視覚体験が得られるならば、機械の側にも意識が宿ったと言えるのではないか。分離脳の研究が示すように、大脳皮質の連絡を切れば意識は二つに分かれる。この原理を逆手に取り、機械側に意識が生じているかを主観的にテストするという大胆な構想です。

身体性・夢・意識の最小条件

参加メンバーからは身体性についての質問も出ました。意識を最低限生むのに必要な条件について、先生は「300 ミリ秒あれば意識は生じうる」と述べ、身体とのインタラクションがなくても意識が成立する可能性を示唆されました。夢の中の意識がまさにその例であり、DreamDive が取り組む明晰夢研究との接点も垣間見えました。

おわりに

「外的な計測によって内的な意識を観測できるのか」という根源的な問いに対し、渡辺先生は脳接続という実験的アプローチで切り込もうとされています。意識の科学が従来の客観的手法の限界を超えようとしている現場に触れることができ、大変刺激的な時間となりました。

DreamDive では引き続き「DreamDive Open Lab」を通じて、意識・夢・脳に関する最先端の知見に触れる機会を設けてまいります。